博士の異常な愛情

正式なタイトルは、博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

…ながい!

ということで1964年公開、スタンリー・キューブリック監督、脚本。
なお、この記事を書いているのは9月21日だけど、みたのは19日。東京から京都への新幹線の中。となりに座ってた女の子が結構かわいかった&無防備だったっていうどうでもいい感じのことを付記しておく。

一人の将軍の暴走により、世界が破滅へとすすむ様子を、どこか喜劇的に描いている。
しかし公開時は完全な冷戦下だ。しかも公開の2年前にはキューバ危機があり、実際に世界が破滅寸前であったことを考えると、あのエンディングは正直まったく笑えなかったのではないだろうか。
そうとうにブラックであるし、また登場人物の描かれ方などからも、戦争や政治などに対する痛烈な風刺と批判が見て取れた。

この時代のモノクロ映像のすばらしいところは、カラーと比べて映像の粒度が高く美しく、また合成が違和感なくみれるということだと思う。時代背景もあり、リアリティも増す。

タイトル、オープニングの映像もすごくいい。現代において逆に新しい表現になっているといってもいいだろう。あの手書きの文字のジャンプ率等のバランス、細さの感覚もすごくいいし、それが作品の雰囲気ともあっていて、単純にデザイナーとしてあこがれる部分のある表現だと思う。(※僕の本職はおもに雑誌の誌面を作っているデザイナーなのです)

あとから調べて、主演のピーター・セラーズは一人で三役をこなしていた(しかも端役はいない!)ということを知り、それにまったく気づかなかったので大変驚いた。現代においてそれほどの俳優って、どれほどいるのだろうか。

そういえばストレンジラブ博士をはじめてみたとき、僕は大変失礼ながらホーキング博士を思い浮かべてしまった。実際ホーキング博士はこの映画の公開前年(製作中の1963年)にブラックホールの特異点定理を発表し、世界的に有名になったとある。年数の一致に関しては今調べてわかったことではあるのだけど……

しかしWikipediaによると、諸説あるモデルの人物にあがっていないので全然関係ないのかもしれない。

実はキューブリック作品ははじめてみたんだけど、なかなか僕好みな作品だった。ほかの作品もそのうち見ようと思う。